
時は日本がまだ稲作が始まったばかりの弥生時代だった2世紀ごろの中国。
あてもなく、人を騙して小銭を稼いだり、ちょっとした盗みなどをして、その日暮しをしていた放浪の無頼者智恵の前に、一人の少年が現れる。
少年は名をクワンと言った。
小さな体に豪傑顔負け怪力を持ち“帝江”という奇妙な生き物を連れた少年は、巷に増え始めた魑魅魍魎たちを喰らう。そして、彼自身は自分の記憶も正体も持っておらぬようであった。
この不思議な少年に出会い「金になる!」と考えた智恵は、少年と行動を共にする事にするのである。そんな欲得づくでクワンと同行する彼は、やがて天下をも揺るがす動乱の渦へと飛び込んでしまったことに、まったく気づいてはいなかった……。
何故かクワンの正体をうすうす知っているらしい遊女著莪。なにやら大いなる野望と力を持つ謎の男遊糸。その娘としてクワンの前に姿を現す少女ダキ。かつて宮廷で権勢を振るった大宦官曹騰。その孫にして妙に大人びた少年阿瞞。彼らはクワンの正体を解き明かし、それを持った者が天下を制するという『太平清領書』を巡り、彼らは運命の中へと巻き込まれていく。
そして彼らの背後には王朝の腐敗を憂う清流派の名士陳蕃、その陳蕃に漢王朝の滅びを予言する方士襄楷など、漢王朝末期の歴史の流れがうねりを始めているのであった。